研究課題/領域番号 |
17500702
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
地理学
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
岡 秀一 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (50106605)
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研究分担者 |
菅野 洋光 農業技術研究機構, 東北農業研究センター, チーム長(研究職) (30355276)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,110千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 210千円)
2007年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2006年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 樹木限界 / 群落構造 / 樹高 / 階段状微地形 / 土壌水分 / 植生変遷 / 年輪解析 / 富士山 / 群落動態 / 年輪 / 遷移系列 / 強風環境 / パッチ群落 / 実生 / 凍結融解 / 砂礫移動 |
研究概要 |
本研究の目的は、富士山の樹木限界における植物群落の動態とそれに及ぼす気候・地形的諸営力を解明し、中長期的環境変動との係わりを探ろうというところにある。そのために北西斜面を中心に群落学的手法に基づいた詳細な調査を行い、群落構造解析や樹齢解析からこれまで受けてきた撹乱の実態を明らかにし、あわせて日射、気温、地温、土壌水分などの無機的環境条件の継続的な行ってきた。 その結果、北西斜面における樹木限界は定着してから100年以上を経過し、第一次遷移としては平衡的な状態となっていると考えられた。定着の拠りどころとなったのは微細な環境条件、とりわけ土壌水分条件を規定する当該斜面発達する階段状微地形条件であり、階段急斜面の安定性と豊富な土壌水分ぶ森林高木種のカラマツの定着を促した。このような微地形は風衝斜面に特有で、消滅しかかっているところが多いが、寒冷期に由来する周氷河性の地形であると思われる。また、北西斜面ではカラマツを主体とする低木林の発達が著しいが、その背景もこのような斜面特性に係わる。カラマツ低木林は標高とともにその群落高を変化させるが、同一標高帯でサイズと樹齢の関係を検討すると、ある一定の樹齢(100〜200年)に達すると樹高が減じるという傾向が明らかになった。これは通道阻害を引き起こすエンボリズムが一定の樹齢になると顕在化するものと思われる。いずれにせよ、風衝斜面ゆえの水循環の制限が、低木化を維持する重要な機構として機能していると判断される。 環境問題が標榜される現在、環境変動のモニターとして樹木限界の植物群落を捉え、継続的な環境観測もあわせて調査・研究を続行させることがますます重要性を増す。
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