研究概要 |
本研究の目的は、地理教育の立場から、(1)児童・生徒が大人になり社会で生きるために必要とされる地理的技能とはどのような構造を持つのか、(2)社会が地理教育に期待する地理的学力はどのような構造を持つのか、(3)日・英・米のすぐれた地理教育実践事例を収集、分析することにより、日本人の地理的技能や地理的学力を向上させるための小・中・高等学校での授業開発とカリキュラム開発を行うことである。 研究成果の第1は、日・英・米の地理教育で取り上げられる地理的技能・学力の整理である。日・英・米の地理教育で取り上げられる学習指導要領,「地理スタンダード」,「ナショナル・カリキュラム」や教科書,教師用指導書などを分析し,その中で取り上げられている以下の地理的技能・学力を取り上げ,比較研究を行った。(1)地図・空間学習の実際、(2)教科書における地理学力向上プログラム。 研究成果の第2は、日・英・米の地理的技能・学力の向上を志向する地理授業の収集と分析である。平成17年度、平成18年度とも研究代表者と分担者の2名が米国、分担者2名により英国で、授業観察、資料収集、意見交換を実施した。その上で、日・英・米の実際の教育現場で教員たちがどのようにして地理的技能・学力を向上させるための授業を構築し,実践しているのか,以下のように事例を収集し比較分析した。(1)英国初等教育における地理授業実践の形態、(2)米国における地球儀指導の実践例 研究成果の第3は、地理的技能・学力向上を指向した授業開発の試みである。これまでの結果を総合し,日本の社会が期待する幅広い地理的技能・学力を向上させるために以下のカリキュラム開発と授業開発を行った。(1)地球儀指導、(2)子どものための地域安全マップ、(3)災害・防災に関する生涯学習地理教育。これらの研究の結果,地理的技能・学力向上を指向した授業開発を、関係諸機関の協力を得て、学校教育、生涯教育の場で積極的に行う必要があることが明らかとなった。
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