研究概要 |
Google Earth画像からのデータ取得のために結論を出すに至らなかったが、溶岩原・楯状火山・成層火山の発達・分類に関していくつかの知見を得た。一般の溶岩原は玄武岩質スコリア丘・溶岩流の対、または小型楯状火山の集合体であるが、時間の経過とともに大型楯状火山・溶岩ドーム群・成層火山・カルデラ火山が溶岩原内に生ずるようになるらしい。リビア・アルジェリア・アルメニアに存在するようなスコリア丘・溶岩流の対、または小型楯状火山の集合体である溶岩原は発達の初期段階にあり、将来的にマントルからのマグマ上昇繰り返しによる地殻岩石の温度上昇→地殻岩石溶融→マグマ溜まり形成→成層火山・カルデラ火山形成という発達過程をたどると考えられる。アメリカ合衆国本土西南部に散在するBandera,San Francisco(San Francisco成層火山を持つ),Hemez(Vallesカルデラを持つ)などの溶岩原は、上記の溶岩原の進化過程を示唆すると見なされよう。アラビア半島メディナ市に近い東Rahat溶岩原はその大部分が玄武岩質のスコリア丘・小型楯状火山と溶岩流の対からなるが、その北部にフォノライト質火砕流噴出を伴ったと考えられる径3kmのカルデラが形成された火山体が存在するが、今後同様の溶岩原が多く発見されると予想される。このように複成火山体上に別種の複成火山体が乗るものを「重複成火山」と呼称する。カムチャッカ半島東火山帯北部には、カルデラを持ち、径80kmに達する大型の楯状火山体が存在するが、その上に、4個の成層火山Klyuchevskkoy,Kamen,Ploskaya,Srednyayaがのる。これも重複成火山とよぶ。この種の火山は他にも多く存在する。複成火山は単成火山のひとつ格上であるが、さらにその上に重複成火山がある。
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