研究課題
基盤研究(C)
(1)過去の我々の航空機観測結果を中心としてこれらを大気放射の側面から解析した結果、東シナ海上大気は中国・韓国・日本からの大気汚染物質の流入により、強く汚染されることが追認された。(2)過去の我々の航空機観測結果を詳細に解析した結果、東シナ海上に飛来する硫酸塩粒子などの吸湿性粒子に加えて、大気汚染物質起源の二酸化硫黄(SO_2)が雲内で硫酸イオンに酸化され、新しい硫酸塩粒子を形成し、雲粒核として働く可能性が見出された。(3)2005年10月16日〜2006年1月30日の期間、奄美大島北端で実施した雲粒核の濃度特性に関する観測資料を解析した。その結果、奄美大島北端で風が南西〜北の方角から吹く場合、島内の局所汚染の影響を除いて測定可能であり、中国・韓国などからの大気汚染物質の流入により、東シナ海上大気中で雲粒核数濃度が急増することを見出した。また、雲粒核数濃度の急増時における雲粒核スペクトルも調べ、これらの大気汚染物質に起因する雲粒核が下層雲の微物理過程に及ぼす特性を調べた。(4)東シナ海上で大気汚染物質の流入によって急増する雲粒核が下層雲の微細構造に及ぼす影響を調べるため、下層雲内における雲粒の光学的有効半径と下層雲の光学的厚さを人工衛星MODISの資料を解析し、調べた。そして、雲粒核数濃度分布と下層雲の微細構造の関係を、化学天気図CFORSによる地表付近の硫酸塩イオン(SO_4^<2->)濃度と雲粒核数濃度の良い相関関係を手掛かりとして調べた。その結果、雲粒核数濃度の増加は下層雲内雲粒の光学的有効半径を広域に減少させ、下層雲の微細構造や光学的性質に大きな影響を及ぼす可能性が見出された。
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