研究課題
基盤研究(C)
化学物質曝露でDNAメチレーション変化が誘発されるメカニズムの解明するため、C57BL/6系マウスの新生仔期に3μg/mouse/dayのスケジュールでdiethylstilbestrol(DES)を生後1日目から5日目まで5日間投与し、5日齢、14日齢、30日齢で精巣上体(雄)または子宮(雌)を採取した。30日齢での子宮におけるDNAメチル化酵素(Dmnt1,Dmnt3a, Dmnt3b)の発現を調べたところ、DESを登用したマウスでは5日齢、14日齢でこれら酵素のmRNA量が減少し、30日齢では両者に差は見られなくなった。全ゲノムからDNAメチレーションが変化する遺伝子をRestriction Landmark Genomic Scanning(RLGS)法で検出したところ、精巣上体では7ヵ所、子宮では11ヶ所、DNAメチレーションが変化する部位が見出された。これら部位のDNAメチレーションの変化は、投与されたDESの濃度によりメチレーションが変化するパターンがいくつかあることがわかった。精巣上体の4ヵ所と子宮の3ヶ所の遺伝子をクローニングした。精巣上体から得た遺伝子はすべてCpGアイランドの条件に合致する部位のDNAメチレーションが変化していたが、子宮から得た遺伝子はCpGアイランドの部位ではなかった。これら遺伝子と相互作用するタンパク質をクロマチン免疫沈降法で得ようとしたが、うまくいかなかった。本研究の結果、内分泌撹乱物質が単に内分泌作用の撹乱や遺伝子発現の撹乱を引き起こすだけであれば一過的な影響で済むが、変異原性が弱いか有しないこれら物質でもエピジェネティックな変化を引き起こすことが明らかとなった。おそらくエピジェネティックな変化が長期影響や晩発影響の原因となっていると考えられることから、今後は化学物質の有する「エピジェネティック変異原性」にも注意を払う必要があるということが明らかとなった。
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