研究概要 |
本研究は,独自の技術であるラジカルインジェクション脱硝法における種々の反応機構を解明し,実用化に向けた高効率化へのブレークスルーを得ることを目的に行った。ラジカルインジェクション脱硝法とは,大気圧アルゴンプラズマを用いてNHiラジカル(NH_2,NH,N)を生成し,それらを排ガス中に注入することによりNOxを除去する方法である。 本研究により,ラジカル剤(NH_3)がプラズマから受け取るエネルギーがNH_2,NH,Nラジカルの生成濃度に強く影響し,高脱硝率を得るに最適なエネルギー密度が存在することが明らかとなった。次に,アルゴンプラズマ内でのラジカル生成機構はRadiolysis, Charge transfer, Neutralization, Recombinationの4つの過程で起こるとして,プラズマ内でのアンモニアラジカル生成挙動についてモデリングし数値解析を行った。さらに,ラジカルインジェクション場での脱硝反応は20種の素反応が重要であることを明らかにした。 ラジカルインジェクション脱硝法の高効率化に関する研究では,さきに構築したプラズマ内NHiラジカル生成モデルとラジカル脱硝素反応モデルを3次元熱流体シミュレーターにカップリングし,最適化のための種々のケーススタディーを行なった。脱硝率あるいはエネルギー効率には,ラジカルインジェクションの吹出し速度が強く影響し,ラジカル剤と排ガスの混合促進により,排ガス温度がわずか200℃でほぼ100%の脱硝率,250g-NO/kWという驚異的なエネルギー効率を得られることが示唆された。シミュレーションの結果をもとに混合促進実験を行った結果,これまでの2倍以上のエネルギー効率が得られた。
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