研究課題
基盤研究(C)
南極ではオゾンホールが出現し、紫外線照射量が増している。また、真夏の南極は、日照時間や雪の照り返し、低湿度、空気の清浄さにより、赤道直下よりも積算紫外線量が多いことも知られている。本研究では危険な紫外線から人体を守るべく、酸化チタンなどの紫外線防御剤を添加した種々のUVカット素材を作製した。そして、人間の皮膚を想定して人工皮膚(コラーゲンシート)とUVカット素材を貼合わせて曝露した。曝露時期は、真夏時、秋季時、春季時の各々30日間であり、それらの季節による違いを評価した。さらに、それらのサンプルとUV照射装置を用いてUV曝露したサンプルについて分析を行なった。その結果、真夏時の曝露サンプルは、秋季時、春季時の曝露サンプルに比べて大幅に劣化しており、末端アミノ基濃度は8.77nmol/mlにまで達した。また、真夏の曝露においても、酸化亜鉛の添加量の増加に伴って末端アミノ基濃度は低下し、添加量が0.40v%に達すると曝露前とほぼ同程度にまで至った。但し、紫外線カットフィルムで覆っても、ポリペプチドのα鎖、β鎖、γ鎖の分子鎖のバンドは紫外線によって消失していた。また、異なる紫外線防御剤を添加したポリアミド6フィルムで人工皮膚を覆って曝露を行ったところ、紫外線吸収剤を添加したフィルムを用いると紫外線に対する損傷は最も小さかった。なお、以下に実験を行なった具体的な項目を示す。1)UVカット素材に添加する紫外線散乱剤や紫外線吸収剤の種類、添加量、粒径とUVカット効果の解明2)UVカット素材のベースポリマーの種類(ポリエステル、ナイロン6、ポリエチレン、ポリプロビレン、アクリル)とUVカット効果の解明3)コラーゲン架橋密度(各年齢層を想定)を変化させた人工皮膚の南極曝露の実施4)コラーゲン人工皮膚を用いたUVカット評価法の確立
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