研究概要 |
本研究は,石炭の代替として従来焼却処分されてきた廃棄物を製鉄に使用することによって,石炭から発生する二酸化炭素発生量を抑制し,地球温暖化の防止に貢献しようとするものである.実施内容は,以下の通り. 1.還元鉄の製造 (1)廃棄物のガス化とそれを用いた還元鉄製造 先ず、鉄鉱石を廃棄物から作った還元ガス雰囲気の中に置くことによって還元鉄を効率良く製造する方法を提案し、廃棄物のガス化モデルの提案と、ガス化実験を実施して、ガス化に必要な条件を明らかにした。しかし、還元反応がかなり遅く生産性に問題があることが明らかになった。 (2)ペレットにおける還元性実験 生産性を向上させるため、粉化した廃棄物と鉄鉱石を混合してペレットを作り、それを加熱して還元鉄を得る方法を試みた。良好な還元鉄が製造できる条件は、鉄鉱石と木炭との混合比率が1:1、加熱温度が約1400℃であり、鉄鉱石と木炭の粒度は大きさ影響を及ぼさないことも明らかになった。製造された還元鉄は、化学分析、EPMA分析から、メタルFeが95%あり、均一に還元された鉄であった。また、廃棄物としてプラスチック、乾燥食品廃棄物も利用した結果、プラスチックは分解・ガス化するために鉄鉱石をほとんど還元できないが、食品廃棄物は良好な還元剤として使用できることが分かった。食品廃棄物は容易に得られることから、今後の還元剤として有力であると考えられる。 2.廃棄物の発生量調査 毎年、日本全国で廃棄木材は2100万トン,廃タイヤは20万トン,廃プラスチックは1000万トン発生していることが分かった.また、カナダでは日本の約25%の廃棄物発生量であるが、国土が広いために回収コストが大きすぎるという問題があることが明らかになった。
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