研究概要 |
バイオ、医療、材料の分野では、顕微鏡下で物体を操作する微細作業技術が注目されている。しかし,顕微鏡映像を目視しながら、1mm以下の微小物を探針で操作する作業は,熟練を要する上,作業効率も低い。人が指先で行うような多自由度で対象物に適合した動作を微細空間に再現することが,現在の微細作業用デバイスでは困難なためである。その上,微細作業用デバイスに対するニーズは,多自由度動作のみでなく,同一作業の自動化,自動追尾機能の追加など利用目的により多種多様であり,画一的技術シーズでは応えられないのが現状である。したがって,微細作業用デバイスの基本要素となる精密位置決め装置には,共通するニーズに応え高い機能拡張性を有することが望まれる。 本研究では、ゴムを用いた電磁アクチュエータによって精密ステージを構成し,顕微鏡下における微細作業に対する有効性を検討することを目的とする。開発するステージは,市販の光学顕微鏡へ実装するため寸法に制約を受ける。このため,これまでに開発していたアクチュエータを改良するとともに新たな動作形態をもつアクチュエータを開発した。さらに,これらのアクチュエータにより多自由度精密ステージを構成し,可動範囲,位置決め性能,周波数特を実験により調べることで微細作業用デバイスとしての有効性を考察した。また,試作した精密ステージの製品化をめざし,類似する精密ステージの市場調査および顕微鏡メーカや商社おけるヒヤリングによってユーザのニーズを整理するとともにステージの再設計を行った。
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