研究概要 |
本研究の目的は,事業評価における意思決定手法として注目されているリアル・オプションに,企業間の競合を考慮するためにゲーム理論を融合させて,事業価値を評価する手法を開発することであった.そのため,本研究グループが前基盤研究時に開発した1期間,2時点のモデルを多期間のモデルに拡張し,"A Numerical Approach for Real Option Values and Equilibrium Strategies in a Duopoly"(査読改編中),"The Investment Game under Uncertainty:An Analysis of Equilibrium Values in the Presence of First or Second Mover Advantage"(発表済)を作成した.また,リアルオプションとゲーム理論を融合することにより生み出された柔軟性の罠という現象に着目し,これに関する詳細な分析を行った研究「競争状況下でのリアルオプションと柔軟性の罠」も発表された.これらの成果は,2005年以降,毎年国際学会(リアルオプション国際学会,Annual Real Options Conference)を中心として,国内外の様々な学会,講演会,セミナーで発表された.さらに,代表者の古川は,全研究分担者と共に2005年8月に岩手県立大学でワークショップ「競合状況下の定量的リスク評価法」を,2006年7月には中央大学でワークショップ「リアル・オプションとゲーム理論」を開催し,研究成果の発表と普及に貢献した.また,2006年に日本リアルオプション学会が設立されると,分担者の渡辺隆裕と今井は,学会・研究会での発表や研究成果の出版と共に運営にも積極的に携わっている。また、分担者の小井田は、意思決定理論の側面からリスク評価のあり方を分析し、研究成果はエコノメトリックソサイエティ・ヨーロピアンミィーティングなど国内外の学会・セミナーなどで発表した。最後に,古川は,国際競争のなかで,海外進出企業の計画に対する応用可能性を探るため,中国の日本企業にインタビューした.また,リアル・オプションの分かりやすい数値例を作成し,2008年に発行の著書に掲載する.
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