研究概要 |
本研究課題では,サプライチェーンマネジメント(SCM)戦略に適した生産システムとして注目されているフレキシブル加工-組立セル形ショップを対象に,リードタイムの短縮と短納期化を目指すSCM戦略に即したメイクスパン最小化のスケジューリング法を開発した. まずメイクスパン最小化の加工-組立フローショップ・スケジューリング問題の最適解の特性を解析し,加工工程が並列M工程(M≧2)フローラインで構成される場合の最適解は順列スケジュールとは限らないこと,組立工程が1台の組立機械で構成されている場合にはFCFS順(加工完了時刻の早い順)で組立作業を行えばよいことなどを明らかにした.これらの知見をもとに,種々の機械構成からなる加工-組立セル形ショップのメイクスパン最小化スケジューリングに適用可能な2種類の近似解法を提案した.一つはヒューリスティック・ルールによる方法であり,原モデルを複数の仮想的プローショップ・モデルに変換しJohnson法やNEH法などを拡大適用することで有望な近似スケジュールを求め,そのジョブ順序をクリティカルジョブや組立工程におけるジョブ問遊休に着目したルールを用いて変更し,より良い近似解をきわめて短時間で得る.もう一つは分岐限界法ベースの系統的局所探索法による方法であり,簡便な手法で求めた初期解の近傍を分岐操作の枠組みを利用し,下界値を指針として探索空間を限定しながら系統的に探索して良好な近似解を得る. 様々な加工-組立フローショップ・モデルに対して数値実験を行った結果,2つの解法によればいずれも最適(または最良)解との最大相対誤差が3%以下の高精度な近似解が効率よく得られ,その有効性が確認できた. 今後は,これらの解法を動的スケジューリングや多目的スケジューリングに対応可能なものへと発展させ,それらを統合したスケジューリング・システムを構築したいと考えている.
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