研究課題
基盤研究(C)
申請者らは抗原ペプチドのわずか1アミノ酸残基を置換したアナログペプチドの刺激により、ZAP-70の活性化を伴わない強いT細胞応答が誘導されること、およびこのT細胞応答にセリンスレオニンキナーゼであるプロテインキナーゼD(PKD)の活性化が関わることを報告している。PKDファミリーキナーゼには、PKD1〜3の3種の存在が知られている。界面活性剤入りバッファーで可溶化したT細胞を、PKDに対する特異的な抗体で免疫沈降を行ない、Maldi-四重極-飛行時間(Q-TOF)型高感度質量分析装置を用いた解析を行ったところ、T細胞に主に存在するPKD分子はPKD2であることを明らかにした。T細胞活性化におけるPKD2の役割解析を行い、PKD2はIL-2プロモーターの活性化およびT細胞の細胞死に関与することが判明した。ヒト白血病T細胞株Jurkatの核抽出物と放射性ATPを用い、活性型PKD2のin vitroキナーゼアッセイを行ない、PKD2の作用により特異的にリン酸化される基質分子の同定を試みた。反応生成物を二次元電気泳動法により分離し、オートラジオグラフィーを行ったところ、活性型PKD2作用により特異的に放射能の取込みのみとめられたタンパク質スポットを見出した。これらのタンパク質スポットに該当するスポットを並行して行なった非放射性ゲルより回収し、トリプシン消化後、質量分析法により分子種を同定したところ、SET(別名I2PP2A)であることが判明した。組換えSETタンパク質を大腸菌を用いて調製し、実際にPKD2の基質となることを確認した。大腸菌により調製した種々のSETのセリン/スレオニンの変異体および質量分析計による解析から、PKD2により特異的にリン酸化されるSETの171番目のセリン残基を同定した。今後、PKD2によるセリン残基のリン酸化がT細胞の活性化にどのような影響を及ぼすのか解析を行ない、自己免疫疾患などの好ましくないT細胞応答を制御する創薬などを視野に入れて研究を行なう。
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