研究概要 |
Streptomyces avermitilisのゲノム解析によって、本菌には多くのシトクロムP450(以下CYPと略す)遺伝子を保有することが明らかとなった。これら33種のCYPの機能を明らかにするため、昨年度大腸菌で大量発現できるように全ての遺伝子をPCRで増幅し発現ベクターに連結した。33種のCYP遺伝子のうち26種がIPTGによる誘導によって発現を確認することができた。誘導を行った大腸菌を用いて薬物代謝で水酸化あるいは脱メチル化が観察されている化合物の変換を試みたところ、15種のCYP(SAV109,SAV412,SAV413,SAV1308,SAV1987,SAV2061,SAV2894,SAV2999,SAV3704,SAV3882,SAV5841,SAV6249,SAV7130,SAV7186,SAV7469)で変換物を生成していることが明らかとなりそれぞれの生成物の構造の確認を行った。8種のCYPはカルバゾールの4位の水酸化を触媒した。また、4種のCYPはトランス・スチルベンを水酸化し、5種は脂肪酸のω位の水酸化を触媒することが明らかとなった。これらのCYPのうち、CYP154A2,CYP107L2およびCYP105Dは多くの化合物を基質として水酸化あるいは脱メチル化を触媒し、特にCYP105D7は8種以上の化合物を水酸化した。一方、CYP105D7と同じファミリーの属するCYP105D6はポリケチド化合物フィリピンのみを水酸化することから、これら2つのCYP105D6とCYP105D7の構造上の相違はCYPの基質特異性に関して興味深い知見が得られるもと期待される。
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