研究概要 |
スパイクHタンパク質のリポ多糖認識と立体構造変化におけるリポ多糖脂質部分の寄与 φX174の宿主である大腸菌C株のLPSをヒドラジンや熱アルカリ処理することによって脂質部分を切断した脱アシルLPS誘導体を調製した。それらの脱アシル誘導体では,Hタンパク質との親和性が大きく低下し,立体構造が変化が極めて小さくなった。 スパイクタンパク質による認識におけるLPSの荷電残基の寄与 LPSをフッ化水素酸や水素化ホウ素ナトリウムによって処理し,脱リン酸およびKDO還元LPS誘導体を調製した。それらの誘導体とスパイクHおよびGタンパク質の相互作用を検証したところ,Hタンパク質はリン酸残基をGタンパク質はKDO残基の負電荷を失うことで,認識と立体構造変化を大きく低下することが明らかになった。 Hタンパク質のプロテアーゼ抵抗性ドメインの同定と機能解析 Hタンパク質をV8プロテアーゼ処理することによって,二つのプロテアーゼ耐性断片(F2,F3)を得た。F2は,Hタンパク質の215-345残基であり,F3は,N末端側の1-102残基であることが,N末端アミノ酸配列解析や,質量分析から判明した。これらの二つのドメインと大腸菌C株のLPSに対する相互作用を表面プラズモン共鳴装置によって検証したところ,C末端側のF2ドメインが,Hタンパク質と同等の親和性を示したのに対して,N末端側のF3ドメインは,Hタンパク質の約1/10の親和性を示した。
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