配分額 *注記 |
3,740千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 240千円)
2007年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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研究概要 |
酵素が化学反応の遷移状態と結合することによって触媒機能を発揮しているように,化学的に安定な遷移状態アナログを抗原として得られる抗体タンパク質は,反応の遷移状態と結合し,酵素のような触媒機能を発揮するようになる.このような触媒機能を有する抗体を「抗体酵素」(Catalytic Antibody)と呼ぶ.抗体酵素は,その高い異性などの優れた性質から第三の物質生産法として注目を集めている.しかしながら,実際に抗体酵素を化学合成に応用するためには,解決すべき問題点が残されている.その最大の問題は,一部の抗体酵素を除いてその触媒活性は低く,多くの場合エステル結合の加水分解反応に限定されている.本研究の目的は,抗体酵素の応用に向けて,高い活性を有する抗体酵素の作製法を開発し,その適用範囲をひろげることである. 天然酵素は,「遷移状態の安定化」に加え,「一般酸-塩基触媒」,「求核触媒」,「金属触媒」などの複数の触媒因子を使って,高い反応効率を獲得している.しかしながら,これまでの抗体酵素は,単一の触媒因子(遷移状態の安定化)で反応を触媒するため,その活性は低いものにとどまっている.これまで報告されている抗体酵素は,リン酸エステル化合物をハプテンとして免疫して作製され,エステル加水分解活性を示す.そこで,本提案では,遷移状態の安定化に加えて,「一般酸-塩基触媒」や「求核触媒」を反応場に導入することを検討した.リン酸化合物とアミン化合物を二重免疫したところ,酸性アミノ酸残基および塩基性アミノ酸残基が抗原結合部位に導入され,これらが協奏的に働いて,高い触媒活性を示す抗体酵素が得られた.
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