研究課題/領域番号 |
17510208
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
地域研究
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研究機関 | 島根県立大学 |
研究代表者 |
今岡 日出紀 島根県立大学, 総合政策学部, 教授 (50184809)
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研究分担者 |
溝端 佐登史 (満端 佐登史) 京都大学, 経済研究所, 教授 (30239264)
田中 宏 立命館大学, 経済学部, 教授 (10163560)
貴志 俊彦 神奈川大学, 経営学部, 教授 (10259567)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 300千円)
2007年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2006年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2005年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | ロシア / 市民社会 / 人的資本 / 人間開発 / 中央-地方関係 / 地域コミュニティー / 民主主義 / 利害調和 / 地方自治体 / 中間層 / 国家・企業間関係 / 経営者 / 労働者 / グローバル化 / 社会主義 / 大衆 / 社会的安定 |
研究概要 |
本研究の目的は、ロシアを一つの資本主義の型とみる視点から、政治・経済・社会の利害相関メカニズムを解明し、ロシアにおける市民社会の形成過程を跡づけることである。本研究を通じて、以下の点が明らかとなった。 第一に、ロシアにおける人間開発の特徴は、経済発展段階に比して、教育水準の異常な高さと平均寿命の異常な低さが観察されることである。国連開発計画の人間開発指数にもとづく分析を通じ、こうした人間開発のパターンはソ連期の資源配置に規定されていることが推察された。 第二は、体制転換にともない、中央と地方自治体との関係に変化がみられることである。両者の関係は、中央からの地方の独立を特徴とする西欧型が目指されたが、実際には中央の影響力は相対的に強く残された。さらに、近年の改革によって、中央集権化がさらにすすめられ、自治体は下からの民主主義実現のための組織というより、国家行政機構の一部としての性格を強めていることが確認された。 最後に、企業と地域社会との密接な関係が再生産されていることである。ロシア企業は本来の経済的機能に加えて、企業内福祉を提供する地域・社会的機能をソ連の遺産として有している。民営化により一部の社会的機能は地域に移管されたが、このことは雇用と税を介した企業と地域との結びつきの強化を意味している。企業と地域との密接な関係は、未成熟な市民社会と相まって、企業および地域のリストラを遅らせる原因ともなっている。 以上のように、現在のロシアには西欧諸国のような成熟した市民社会が形成されているわけではなく、社会主義期の遺産や体制転換過程の特徴を反映した独自な社会構造が編成されていることが明らかとなった。他方で、ロシア社会と各経済主体の利害との間には、対立とともに利害調和が併存しており、そのことがロシア社会に一定の安定性を付与していることも示された。
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