研究課題/領域番号 |
17520011
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
哲学・倫理学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
内山 勝利 京都大学, 大学院・文学研究科, 名誉教授 (80098102)
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研究分担者 |
中畑 正志 京都大学, 大学院・文学研究科, 教授 (60192671)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2006年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2005年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | ギリシア哲学 / 古典 / ヘレニズム / プラトン / アリストテレス / ブレンターノ / 変容 / 対話 / 受容史 / ガレノス / イメージ / イマジネイション / 心的言語 |
研究概要 |
本研究を通じて、研究代表者の内山は、次のような基本的な見方を明らかにした。われわれの通念的な了解によれば、ギリシア哲学はソクラテスの決定的影響のもとに、プラトンおよびアリストテレスによって大成されたのであり、彼ら以降のヘレニズムの哲学は古典的完成からの拡散と矮小化の過程と位置づけられる。しかし、プラトンやアリストテレスの没後、ギリシア世界でも、彼らの哲学は必ずしも中心的ではなかった。むしろヘレニズム時代はふたたび初期以来の「本来の」ギリシア哲学に立ち返っている。プラトンの場合、本格的な復興は、後3世紀半ばのプロティノスに始まる新プラトン主義の活動をまたなければならなかった。また、プラトン『国家』が彼の代表作と見なされ、そこに論じられた哲学と国家論が真剣に受け止められるようになったのは、19世紀になってからである。 したがっていわゆる古典とは、確固たる規範として維持存続されてきたものではなく、毀誉褒貶にさらされつつ歴史を生き抜き、いくつかの時代の岐路において新たに発見され、それぞれの時代状況に拮抗しうる力を示現してきたものである。それが古典と呼ばれる所以は、むしろその多面性、重層性にある。 研究分担者の中畑は、以上の一般的視点を、いくつかの観点から実証的に裏づけた。たとえば「志向性」という概念はブレンターノがアリストテレスの魂論から読み取ったものである。しかしブレンターノの読解は、知覚対象(aistheton)についてアリストテレスとは異なるブレンターノ独自の視点がはたらいていた。また心的言語というオッカムの興味深いアイデアは、アリストテレスの『命題論』の言語論についての注目すべき解釈にもとづいたものである。
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