研究概要 |
研究目的「梵語仏典に現れる語源解釈の教学的意義を古典インド文法学(パーニニ文法学)の観点から解明する」にかかる平成17年度の研究実施計画に基き下記成果を得た。 1 一次資料(収集済)調査: 称友著『倶舎論釈』に現れる語源解釈に関わる文法学的記述を特定し,アルバイトの協力も得て,テキスト形式で51ファイルのデータベースを作成した。 2 海外調査: ハーバード大学サンスクリット語・インド学学科のResearch Associateとして研究に従事し(平成18年2月6日〜3月6日),P.Patil教授およびL.MaCree博士の協力を仰ぎ,称友の語義解釈の思想的背景に基づく方法論の解明に努め,その成果として"On the Background of Yasomitra's Intentional Misapplication of Panini's Grammar"(刊行準備中)の草稿を作成した。 3 文献収集: 主に欧文の学術雑誌論文を主とする資料を収集し,これに収集済みの一次・二次資料を併せ,アルバイトの協力も得て,約3300件の文献データベースを作成した。 4 研究発表 (1)北海道印度哲学仏教学会第22回学術大会(平成17年8月26日北海道武蔵女子短期大学)において「インド文法学における行為名詞の問題」と題して研究発表を行なった。この中で,サンスクリット語の一次派生語の語義解釈に多用される"動詞語根表示"(bhava表示)にかかる最古の資料Nirukta当該部分の解釈史ならびに意味論的観点に立った分析・解釈を試みた。(刊行準備中) (2)ハーバード大学サンスクリット語・インド学学科において"Yasomitra's Grammatical Analysis Applied for Buddhist Terms : A Case of vatya-"と題し,断片的に着手していた主題の発展的研究の一端を講義形式で発表した(平成17年3月5日)。
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