研究課題/領域番号 |
17520054
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
宗教学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
細田 あや子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (00323949)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,970千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 270千円)
2007年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2006年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2005年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | ヨーロッパ中世 / 神秘主義 / ヴィジョン / テクストとイメージ / 新プラトン主義 / 宇宙論 / 異界論 / 不可視なるものの表象 |
研究概要 |
本研究においては、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンの著作のテクスト分析および図像解釈をし、ヒルデガルトの宗教思想を考察してきた。ヒルデガルトの宗教思想をみるにあたって、とくに彼女のみたヴィジョン(幻視)に注目して検討を加えてきた。 本年度は三ヵ年の研究のまとめとして、ヒルデガルトのヴィジョンに関し、テクストとその視覚化の関係をより明確にして宗教思想、宗教美術という側面からの考察を深め、いくつか特徴あるテーマ、たとえばヴィルトゥテスという概念や自然観などを分析した。さらに、三位一体というキリスト教教義についても、ヒルデガルト独自の見解が認められることが理解された。父、子、聖霊という三つのペルソナを図像化する場合、ヒルデガルトの『スキヴィアス』(II,2)では、二層に分けられた円の中央に子であるキリストが立っている。キリストのみが具体的に人物像として描かれているのに対し、なぜ父なる神は円という幾何学的表現になっているのかということが、ヒルデガルトのヴィジョンにとって特徴的な点である。このような描写の背後には、ヒルデガルトの神観、また宇宙観、そしてジェンダー観などが影響していると考えられる。この宇宙を創造した神は、男性というひとつの性に限定されるようには考えられておらず、性差を超えた創造主としてとらえられている。具象的な描写よりも、円や他のヴィジョンにもみられる四角形などの幾何学的な抽象的図像および象徴的意味が込められた多様な色彩を通して、キリスト教教義とそれをふまえそれを包括するようなヒルデガルト独自の宗教思想に基づき、このようなヴィジョンになっていると考えられる。ヒルデガルトはキリスト教という枠組みの中に生活しつつも、それを超え、被造物と自然との調和ある世界を求めていたことが明らかとなる。
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