研究課題
基盤研究(C)
西洋絵画は近世以降、物語性に即して線描・明暗・色彩を統合して自然主義的な再現を実践してきた。しかし、1800年頃に始まる近代では、19世紀後半の印象主義の登場や20世紀初頭の抽象絵画の成立が告げるように、色彩表現が圧倒的に重要な役割を演じるようになる。しかし、こうした問題を絵画作品の構造問題として追究する試みは、従来なされていない。われわれが本研究で「色彩メディア」概念をあえて使用するのは、作品構造の変革に対応する色彩表現の変容を追究するためにほかならない。その意味で、本研究では、「オーバーラップ」をキー概念として提示する。印象主義時代に始まる点描やクロワゾニスムは、本質的には、色彩を重層化、オーバーラップする方法以外の何ものでもない。点描やクロワゾニスムについて、画面平面内のある色相と他の色相とのコントラストや視覚混合がこれまで重視されてきた。しかし、そうではない。ある画面層内における色彩の関係づけにとどまらず、その画面層と別種の関係づけをもつ他の画面層とを重ねることが重要なのだ。つまり、色彩の関係化の関係化が問題なのである。それをオーバーラップと呼ぶ。この方法は言い換えれば、画面層そのもののオーバーラップ、つまり、画面のポリフォーカス化を含意する。セザンヌからピカソに連続する表現革新は一般に、色彩とは無関係に論じられるが、そうではない。また、開かれた作品として特徴づけられる近代美術の特性も、色彩とは別次元で理解されてきたが、そうした理解も不十分なのである。本研究は、19世紀後半からの色彩研究の一次資料をドイツ・スイスにて実証的に調査し、その資料の分析にもとづき、色彩メディアのもつ絵画における特性を「オーバーラッブ」と統括し、色彩のオーバーラップこそ、近代絵画の作品構造の変革をも照らしだすとの、新しい視座を提起する。
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すべて 雑誌論文 (29件) 図書 (5件)
学術の動向(日本学術会議) 12・2
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130001752460
Booklet(慶應義塾大学アート・センター) 15
ページ: 8-23
日本色彩学会ニューズ 246
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Gakujutsu no Doukou 12/2
Booklet 15
News of the Color Science Association of Japan 246
Shinchosha
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学術の動向 12・2
bokklet 15
カトリック生活 922
ページ: 10-12
パウル・クレー-創造の物語(川村記念美術館・北海道立記念美術館・宮城県美術館、展覧会カタログ)
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日本色彩学会誌 30・3
Katorikku Seikatsu 922
Paul Klee, the Narrative of Creation, Exhib.Cat.
The Journal of the Color Science Association of Japan 30/3
Japan Christian Press
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モルフォロギア(ゲーテ自然科学の集い) 27
ページ: 2-21
カトリック生活 918
Morphologia 27
Katorikku Seikatsu 918
Chisen-Shobo
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哲学をつくる(東洋大学哲学講座3)
ページ: 167-190
モルフォロギア 27
人文知の可能性(日本学術会議)
ページ: 223-225
芸術新潮 672
ページ: 14-80