研究概要 |
中華人民共和国北京日本学研究センター創立20周年記念シンポジウム「中国における日本文化,日本文学研究の現状と行方」(2005年10月)に参加し,中国国内各地より参集した中国人日本古典文学研究者と和歌の翻訳論を含む文化受容に関する討議を行うとともに,情報交換をし,併せて中国古代礼楽論関連の資料の収集に努めた。また、大韓民国ソウル大学校附属図書館(奎章閣)において資料収集に当たり(2006年3月),朝鮮王朝時代の勅撰歌集『龍飛御天歌(ヨンビオチョンガ)』の最古の版本(零冊)の調査を行い、当該歌集の現代韓国語の全訳を完成させた高麗史研究の権威,朴菖熙(パク・チャンヒ)博士との討議を通じ,李氏朝鮮第4代世宗(セジョン)大王のもとでのハングル文字創成と勅撰歌集編纂に関わる歴史的・文化論的経緯,背景その他についてのさまざまな知見を深めることにより,『古今和歌集』成立問題との比較研究にとって,大きな指針を得ることができた(17年度)。 ポーランド国ワルシャワ大学東洋学研究所における国際会議「"Japanese Studies in the 21st Century - Beyond Borders"- International Conference on Japanese Studies in Memory of Wieslaw Kotanski Warsaw,19-21 May 2006」に参加し、「中国古代音楽論と目本の和歌文学」と題した発表を行った。そして中央ヨーロッパを中心とする世界各国の日本文学・語学、文化・社会研究者との研究交流を通じ、多くの知見を得ることが出来た。さらに同年12月24日〜30日まで、中華人民共和国北京日本学研究センターにおける「異文化の中の日本文学」と題する研究集会(2006年12月)で「古代音楽思想と日本の和歌文学」と題する基調講演発表を行うと共に、中国国内の日本古典研究者との研究交流及び科研題目に関わる文献調査を行い、古代中国の音楽理論・礼楽関連の研究情報・資料収集に努めた(18年度)。 この調査研究により、日本の勅撰和歌集編纂の思想基盤に、中国古代礼楽思想が深く関与していることが認められた。なお、これらの調査研究結果の一部は「研究成果報告書 勅撰和歌集と中国古代礼楽思想の和漢比較研究」(2007年5月)にまとめた。
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