研究課題/領域番号 |
17520185
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ヨーロッパ語系文学
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研究機関 | 山形県立保健医療大学 |
研究代表者 |
梶 理和子 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 講師 (60299790)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,140千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 240千円)
2007年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2006年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2005年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | ジェンダー / 公共圏 / 女性作家 / 女性読者 / 出版文化 / 上演・出版戦略 / 匿名性 / 文学ジャンル / 王立協会 |
研究概要 |
本研究は、十七世紀後半から十八世紀にかけて、イングランドにおける女性作家の誕生、女性作家間の相互依存性という問題を、この時期に形成されつつあった公共圏という観点から考察することを目的とした。まず、Aphra Behnに端を発する、演劇というメディアにおける職業的女性作家の誕生の社会文化的側面を検討し、さらにBehnを意識した第二世代の女性作家たちの影響関係、協力関係、敵対関係の意義や戦略の分析を行った。また、当時の人気定期刊行物などの一次資料も調査することによって、「長い十八世紀」における女性作家形成の経緯、受容の問題、また、それらに対する男性作家や(女性)読者の反応などを検証した。 ジェンダー論の視点から公共圏を再考した結果、Behnの一族とでも言うべき女性作家の系譜の存在と、その形成に携わっていた女性作家のネットワークの存在が確認された。だが、この系譜が女性作家たち自身により構築、利用されていた一方で、そこから外れる、作家たちの異端性こそが、次の世代へとつながる女性作家の可能性を広げつつ、より大きな系譜を形成していくことになる。この時期、劇作家として登場した女性たちは、出版文化の隆盛に伴い、哲学的思想や政治的主張を活字化し、より広範に流通させる、作家として確立されていった。 以上のような研究を通じて、作家としての個々の戦略と、演劇や小説といったジャンルの隆盛との関係性を考えることで、公共圏において相互に依存(対立)する女性作家のネットワークの存在が、「長い十八世紀」の中で重要な意味を持つことが明らかになった。
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