研究概要 |
当研究はこの前段階の研究「ヴィクトリア朝における家族パラダイムの変換の核としての従兄弟、従姉妹表象」と継続したプロジェクトであり,その主たる議論は,博士論文の形にまとめた。当研究は,身内と他者の境界線に立つ「従兄弟、従姉妹」が,ヴィクトリア朝小説のプロットとして不可欠な「結婚」にどのように関わることによって,家族形成のイデオロギーに寄与しているかを,文学史の正典,非正典をまじえた文学テクストをとりあげ,具体的に考察することによって,19世紀イギリス小説史の新しい見取り図を描き出すことを目的としており,そのために 1.必要な一次史料の収集を国内の大学で収集する 2.国内で入手不可能な史料については(主に結婚法と相続に関する),休暇を利用してロンドンのブリティッシュ・ライブラリでおこなう 3.理論の精緻化および,個々の作品の読解をおこなう 4.論文についての意見交換を,サセックス大学のリンゼイ・スミス教授,ジェニー・テイラー教授とおこなうといった作業の流れに従って,論文をまとめた。その論文により,2007年7月に,サセックス大学からDPHilの学位を取得した。
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