研究課題/領域番号 |
17520231
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
各国文学・文学論
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
戸崎 哲彦 島根大学, 法文学部, 教授 (40183876)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,610千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 210千円)
2007年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2006年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2005年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 桂林 / 墨書跡 / 壁書 / 大岩 / 芦笛岩 / 明清 / 鍾乳洞 / 広西少数民族史 / 史料学 / 『桂海虞衝志』 / 古代墨書跡 / 摩崖石刻 |
研究概要 |
中国広西の桂林は山水の地としてつとに有名であり、古代石刻の存在は広く知られているが、鍾乳洞内に古代人が筆墨を用いて岩壁に書き記した墨書跡"壁書"があることを知るものは少なく、したがって研究も乏しい。このような壁書は、中国国内は固より、世界的に見ても極めて稀である。本研究は現地調査と解読等を経て次のような知見を得た。1.壁書は主に芦笛岩と大岩に存在する。芦笛岩は1960年代より観光開発され、工事等による破壊の他に、黴・苔等が発生して大半が消滅しているのに対して大岩のそれは60年代の発見当初の状態に近いが、今人の落書きが夥しい。2.60年代の調査報告によれば大岩壁書の現存総数は93点、後の研究によれば95点とされているが、本研究では140余点を古代墨書跡として鑑定した。その内、明代98点、清代16点、民国期2点、無考30点。従来の説では北宋・元豊七年(1084)の壁書が洞内最古とされているが、その説は極めて疑わしい。年代が明確なもので最古のものは明代初期の永楽八年(1410)である。3.壁書の作者は、芦笛岩では唐宋の官人・僧侶が多いが、大岩では明清の一般庶民、多くが山下にある于家村の村民である。4.書記内容は、芦笛岩壁書には遊洞や探険の署名・年月を記す簡単な書式が多く、記念性が高いが、大岩壁書は長文のものが多くて記事性に富み、生活を反映している。これは作者が村民であり、大岩が避難の場所として使用されたことと関係する。5.壁書は作者が直接書きつけたものであって石刻よりも信頼性の高い一次資料であり、大岩のそれは史学、文学、言語学、経済史、民俗学、書法、地理学、気候学等、広範囲の分野に貴重な史料を提供する。とりわけ広西・貴州における少数民族蜂起、明清王朝交替史、靖江王府史については『実録』等史書や方志を補正するものがあり、また文字学、方言学においても従来の研究の缺を埋める所がある。
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