研究課題
基盤研究(C)
本研究では、日本語・韓国語・ドイツ語・フランス語の4言語による音声資料(「依頼」と「断り」の場面における会話)のインタラクションの中で観察される無音ポーズに注目した。加えて、発話頻度、フィラー、長音化、笑い等についても測定し、会話全体での知見を得るため、データを統計処理し、ポーズとそれに関連した音声特徴について総合的に考察した。そして言語間でどのような違いが表出するか、有為な要因についての知見を研究成果の発表の形で示した。統計処理にあたっては対数分布を用いるなど、採集した音声データの正確な取扱いに配慮し、音声学・会話分析の両側面から観察される特徴を相互に関連づけて考察を行った。また、比較対象とする言語を4言語に増やすことで、それぞれの言語の特徴を多角的に把握することを試みた。そして、会話全体から受ける音響的な印象が、発話長、ポーズの頻度とも関連しているという仮説に基づき、日本語・韓国語・ドイツ語・フランス語の対照を通して、それぞれの会話のインタラクションの中で見られる特徴を音声面と会話分析の立場から観察・記述した。その結果、会話の音声的な特徴(ポーズ、発話の頻度と持続時間、長音化、笑い、フィラー等)が、談話管理と有機的に関連し、各言語でそれぞれにストラテジーとして機能しているという結論を得た。具体的例をあげると、ポーズの持続時間については、言語と性別に有意な差が認められた。発話持続時間では、役割も有意な要因として作用していた。また、各言語の特徴としては、次のことがあげられる:1.ポーズについては、ドイツ語で特に長く日本語で短い。その傾向は、話者交替時に顕著であった。2.ポーズ持続時間長に関して、話者交替時で性差が有意な要因として作用していたのは、韓国語のみであった。3.フランス語には、全体を通してポーズの頻度が低く、短く、フィラーも多く、発話の持続時間が長いという特徴が見られた。以上を踏まえ、研究の総括として報告書を作成した。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (6件)
Gunther Distelrath (Hg.) Referate des 13. Deutschsprachigen Japanologentages, Band I : Kultur- und Sprachwissenschaft. Reihe : JapanArchiv. Bier'sche Verlagsanstalt : Bonn Band 9-I(印刷中)
Referate des 13. Deutschsprachigen Japanologentages, Band I : Kultur-und Sprachwissenschaft. (Gunther Distelrath (ed.)) (Reihe : JapanArchiv. Bier'sche Verlagsanstalt : Bonn, Band) 9-I(in printing)
Gunther Distelrath (Hg.) Referate des 13. Deutschsprachigen Japanologentages, Band I : Kultur- und Sprachwissenschaft. Reihe : JapanArchiv. Bier'sche Verlagsanstalt : Bonn Band9-1(印刷中)
中央大学文学部 紀要 文学科 第98号通[210]
ページ: 339-361
110006000853
Journal of the Faculty of Literature. Department of Literature. (Chuo University, Faculty of Literature) 98[210]
中央大学文学部 紀要 文学科 第98号
ページ: 24-24