研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、日本語で専門教育を受ける社会科学系留学生のために必要な専門語を専門連語の形で使い方とともに示す専門連語を新たに選定し、そのうち「類義の専門連語」について専門連語集を作成し、分析することにある。専門連語とは、「物価が上がる」「商品の生産」のように、連語としても専門的概念を表すもので、専門語の使い方として示すべき連語のことである。まず、専門連語の調査を行うべき専門語の特定を行った。資料には2006年度使用の中学「公民」教科書8冊と、2005年度使用の高校「現代社会」教科書16冊の経済部分の索引を用い、「公民」または「現代社会」の半数以上の索引に掲載された226語を専門連語の調査対象とした。次に、調査対象の専門語を含む専門連語の調査を行った。上記教科書の本文データから調査対象の専門語の用例文を取り出し、解析プログラムによって専門語の連語を抽出した。そのうち2例以上の用例のある連語について3名の専門家に専門連語の判定を依頼し、3名が一致して専門連語と判定した1393種のうちの658種を専門連語とした。専門家には選定後、判定に関してインタビューを行った。さらに、1393種の専門連語から類義の専門連語111種(45組)を選定した。類義の専門連語は、「消費者が選ぶ」「消費者が選定する」のように動詞自体が類義のものと、「景気が悪化する」「景気が後退する」のように動詞自体は類義とは言えないものとに二分された。前者については、「企業が競争に負ける」「企業が競争に敗れる」のように和語動詞の類義語と、「株式を買う」「株式を購入する」のように和語動詞と漢語動詞との類義語とに二分された。
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早稲田大学日本語研究教育センター紀要 20号
ページ: 33-52
120000785306
Bulletin of Center for Japanese Language, Waseda University
早稲田大学日本語教育研究センター紀要 20号