研究分担者 |
井上 優 独立行政法人国立国語研究所, 日本語教育基盤情報センター, グループ長 (30213177)
鑓水 兼貴 独立行政法人国立国語研究所, 研究開発部門, 研究補佐員 (20415615)
石黒 圭 一橋大学, 留学生センター, 助教授 (40313449)
田中 真理 電気通信大学, 国際交流推進センター, 助教授 (20217079)
由井 紀久子 京都外国語大学, 外国語学部, 助教授 (20252554)
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研究概要 |
本研究は,「日本語学習者による日本語作文と,その母語訳との対訳データベース」に収録されている各種データを用い, ・「日本語学習者の書き言葉」が,どのような文章論的特徴を備えているのか ・それらの特徴に対し,日本語母語話者はどのような反応を示すのか,また,どういう観点で学習者の書き言葉を読もうとするのか。 ・日本語の作文と母語訳データとを比較対照したとき,学習者の書き言葉の文章論的特徴は対照言語学的観点からはどのように説明されうるのか ということを明らかにすることを試みた。 【研究実施状況】 研究第1年次には,大量の評定者に大量の作文に対する評定を依頼することで,量的に評価意識の実態を探った。2年次には,以下のような質的調査を遂行した。 1)06年度の評定調査において,とくに評点のばらつきが大きかった作文の中から20編を選択し,それを日本語一般母語話者20名に読んでもらい,その作文の「総合評価」を5段階で点数化してもらった。さらに,その作文に対するコメントも書いてもらった。 2)すべての作文を読み終わった評定者を別室に呼び,個々の作文に対して評点を与える際,どのような点に注意を払ったか,なぜそういう評点をつけたか,などということについてインタビューによる調査を行い,その内容の分析を行った。 【研究成果】 ・評定結果の量的・質的分析により,「評価がばらつきやすい文章の特徴」を指摘するともに,それぞれの評価の背後にどのような「評価観」が存在しているのかを,主としてインタビューによって明らかにした。 ・学習者作文に対する添削・評定結果を,XMLによって集計する手法を考案し,「評価意識」を量的に扱っていくための道を開いた。
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