研究概要 |
近年,学習者のニーズに合わせて目標分野を限定し,その分野特有の学習内容を指導することによって学習効率を上げるESP(English for Specific Purposes:特定目的のための英語)が注目されている。本研究の目的は,1)現代英語を代表する1億語のBritish NationalCorpus(BNC)を構成する14の特定分野のサブコーパスからそれぞれの専門語彙を抽出し,特徴語リストを作成する,2)作成した特徴語リストの有効性を検証する,3)1)と2)の結果に基づき,専門語彙を学習できるe-ラーニング教材を作成することであった。研究成果の概要は以下のとおりである。 1.申請者らの先行研究によって独自開発された9種の統計指標(頻度,ダイス係数,コサイン,補完類似度,対数尤度比,カイニ乗値,イエーツの補正公式,自己相互情報量,マクニマーのテスト)を利用して,14の専門分野ごとに特徴語リスト(14分野×9種指標=126特徴語リスト)を作成した。 2.9種の指標別に,抽出した各特徴語リストの上位500語について,英語母語話者習得学年分布,頻度帯分布,教科書語彙分布等を調査し,検討を行った。その結果,各統計指標がそれぞれ特定の語彙レベル別に特徴語を抽出していることが検証された。 3.以上のBNCを構成する14分野の特徴語抽出の研究結果に基づいて,書き言葉と話し言葉のビジネス語彙,ならびに,話し言葉の学術分野(EAP: English for academic purposes)の語彙について,「教育用専門語彙表」を作成し,それを指導するためのe-ラーニング語彙学習教材を開発した。完成したe-ラーニング教材は研究代表者のホームページより公開予定である。
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