研究概要 |
3年間の授業実践活動,教材開発,実験授業分析を通じて以下のことを明らかにすることができた。(1)開発したテクスト朗読CDと語彙をカバーする副教材を用いて約半年間の授業を実践した結果,たとえ高専1年生であっても,「3ラウンド制リーディングアプローチ」に基づき「聞きながら読み」をすれば,オーセンティック教材も指導可能であることが分かった。(2)半年間に渡るオーセンティック教材を使った「聞きながら読み」によるリーディング指導の効果調査・分析の結果,3ラウンドシステムで「ポーズ有り」の「聞きながら読み」をすれば,下位学力者の読解力が向上することが分かった。さらに,上位・下位学力者ともにリスニングカが向上することも明らかになった。また学習者の主観的調査結果からは,「ポーズ無し」に比べ「ポーズ有り」の方が学習意欲を向上させるとはいえ,「ポーズ有り」と「ポーズ無し」の両方を交互に学習できる「混合」法が最も学習者には効果があると捉えられていた。なお,本調査の結果は平成19年度全国高等専門学校英語教育学会(京都)で発表した。学会報告,論文投稿については,別途刊行する『報告書』において自主開発教材とともに論文集としてまとめた。 他方以下のような課題が残った。(1)オーセンティック教材としてのTuesdays with Morrieの著者Mitch Albom氏から授業および本研究調査に限定された教材の著作権使用のみが許可され,それ以上の企画・開発までには残念ながら限界があった。しかし,プロトタイプとしてのコースウェアは一部作成し今後の発展研究の基盤とした。(2)今後は3ラウンドアプローチで「ポーズ有り」と「ポーズ無し」の聞きながら読みを混合した方法でオーセンティック教材を読むと,いかなる効果が読解及びリスニングにあるのかが調査されるべきであろう。これらの課題は,新たな研究アプローチのもとに改めて授業実践,教材開発,分析することにしたい。
|