研究課題
基盤研究(C)
近代日本・朝鮮の文化遺産をめぐる諸相を明らかにした。とりわけ、史蹟・名所をめぐる社会とのつながりや、語られ方の近世・近代の変遷といった文化遺産保護の社会史、あるいは「帝国」における文化遺産をめぐる政治力学に力点をおいた。具体的には、古都奈良・京都における古代顕彰のありようを、明治維新期から20世紀まであとづけた『近代天皇制と古都』(岩波書店、2006年、全320頁)をまとめたほか、近世から近代への名所の変遷を、桜や古典文学を題材に論じた。朝鮮半島の桜の植樹については、アルバイトにより『京城日報』などからデータを集め、帝国における桜の位相を論じる研究を準備している。また豊臣秀吉にかかわる歴史観や史蹟の顕彰を、日韓の近現代史にあとづけた。また研究報告書では、奈良女子高等師範学校「昭和十五年度大陸修学旅行記文科第四学年」(奈良女子大学所蔵)の全文(生徒のくずし字)を翻刻した。「大陸修学旅行」の記録は、日本だけではなく韓国・中国・アメリカなどの研究者にも関心が高く、翻刻の成果を広めたい。とりわけ朝鮮・満州の史蹟名勝・戦跡をたずね、古都奈良・京都における文化遺産をめぐる学知を、大陸においても「実地踏査」することによって修学することに注目した。本研究の研究成果報告書は、6章立てのオリジナルな論文で構成されているが、近年中に単著として(近代文化財史論(仮題))として出版したい。課題としては、文化遺産の日本・朝鮮における行政史的研究が残った。
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鄭杜煕他編『壬辰倭乱-東アジア三国戦争』ヒューマニスト社(ソウル)
ページ: 165-185
Sogang University International Center for Korean Studies Project, The Imjin War : A War of Three East Asian Nations, Humanist Press, Seoul
『壬辰倭乱-東アジア三国戦争』(鄭杜煕編、西江大学校国際韓国学センター企画)、ヒューマニスト社
論座 (朝日新聞社) 2007年2月号
ページ: 152-158
上賀茂のもり・やしろ・まつり(大山喬平監修)(思文閣出版)
ページ: 192-210
近代京都の創造(同志社大学人文科学研究所ブックレット) 23
ページ: 26-49
佐々木克編『明治維新期の政治文化』思文閣出版
ページ: 303-344
新修茨木市史年報 4
ページ: 1-19
Shibunkaku Press
身体論のすすめ(菊地暁編)(丸善)
ページ: 91-107
明治維新期の政治文化(佐々木克編)(思文閣出版)
Perspectives on Social Memory in Japan, Global Oriental, UK
ページ: 134-147