研究課題/領域番号 |
17520464
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
東洋史
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
上野 稔弘 東北大学, 東北アジア研究センター, 助教授 (10333907)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2006年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2005年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 中国 / 近現代 / 少数民族 / 民族問題 / 公文書 / 辺疆 |
研究概要 |
本研究課題は、中国本土、台湾及び日本の公文書館(档案館)や図書館・資料館などに所蔵されている中国の民族政策に関係する公文書の調査・収集、及び収集資料の分類・整理・分析を通じて、従来の中国民族問題研究で明らかにされてこなかった中華民国期から中華人民共和国期にかけての民族政策の継続性、及び今日の中国及び近隣諸地域における民族問題の遠因を検証するものである。研究はまずインターネットの活用による資料検索、およびアジア歴史資料センター(日本)のようなWebで公開された資料の閲覧から着手した。さらにこれをふまえて現地での資料検索と収集を行った。特に国史館(台湾)は南京国民党政権およびその核心人物である蒋介石の政策決定に関する重要な公文書を所蔵しており、現地調査の中心となった。こうした作業によって、まず国民党政権内部では戦時中に辺疆民族政策に対する様々な提言や構想が打ち出され、それが戦後期の辺疆政策改革案に結実する過程が把握できた。特に国史館で閲覧した「辺政計劃草案」は、蒙藏委員会委員長の呉忠信が1939年に蒋介石に提出したもので、蒙藏委員会の辺政部への改編と少数民族事務全般への業務拡大を中心に戦後の辺疆政策改革について詳細かつ具体的な計画を提示しており、この草案によって戦後の辺政改革の方向性がかなり明確に定まっていたこと、そしてそれが中華人民共和国の民族事務委員会とも共通した部分を持っていたことがわかった。また国民党政権が日本に加えてソ連の辺疆地区への勢力浸透を強く懸念し、そのことが辺疆民族政策への取り組みが不徹底となり、ついには挫折する要因となったこともわかった。ただし、辺疆民族問題に関する公文書資料は膨大であり、また複写禁止扱いが多いために検索・収集には予想以上に時間と手間を要することもわかった。今後は対象とする時期や事件を絞り込んでこの方面の研究を進めてゆきたい。
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