研究課題/領域番号 |
17520493
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
西洋史
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐藤 彰一 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (80131126)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,860千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 360千円)
2007年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | メロヴィング国家 / 国王文書 / 役人王権 / 葬送儀礼 / 婚姻政策 / 分節的徴税システム / 国王宮廷 / 司教支配体制 / パラダイム転換 / 中世初期国家 / 国家概念 / クリス・ウィッカム / 裁判組織 / 軍隊 / 部分王国体制 / 租税徴収システム / メロヴィング王家 / 王族の結婚 / 族外婚 / 族内婚 / 血統のコントロール / 婚姻戦略 / 領主制 / 国家的租税 / 全体史 / 王家 / 貴族 / 内縁関係 / 分節様式 / 修道女 |
研究概要 |
メロヴィング国家組織の頂点に君臨する国王の本質的性格は、「役人」としてのそれであった。国王文書の形式や、超越的な支配者のオーラを演出する葬送儀礼の不在などの要素を考えると、役人王権なる表現が妥当かどうかは別にして、自己表出工ネルギーの希薄な王権との印象は拭えないないのである。 分王国体制は、地理的、文化的に多様な格差をもつ広大な空間を、無理矢理ひとつの政治統合組織として纏め上げるという、客観的に見てこの時代のフランク人には到底なし得ない課題を背負い込むことから、彼らを解放してやることができた。この三分国体制が統治の適切、かつ相対的に統合可能な空間を構成し、またひとつの分王国内部で生じた軋轢や政治的、党派的対立が、メロヴィング国家の全体的瓦解を防止するシステムとして機能したのである。 メロヴィング王権が自己表出の希薄な性格であればあるだけ、王であることの根拠の客観的重要性が増大する。それはメロヴィングの血筋、すなわち血統であった。6世紀半ばまでの異国の主族との族外婚、6世紀半からのフランク王国内の最下層の、事実上家柄をもたない女性との内縁関係による後継者の獲得という婚姻政策の転換は、まことに鮮やかという他はない。 ところで残る二つの特徴、すなわち分節的徴税システムおよび国王宮廷と地方支配の結合は、部分的に重なり合った現象であると言える。統治は7世紀まで基本的に文書作成を必要不可欠な手段としていた。主要な司教座都市で司教が世俗の領域をも掌握する体制があらわになるのと平行して、識字能力をもったほとんど唯一の俗人である宮廷役人を、チャンスがあれば地方教会に送り込んだ。つまりこの国家は依然として文書の作成と管理を根底においた国家運営を規範としていたのである。宮廷役人から司教への転身は、教会体制の国家への浸透ではなく、むしろ教会組織の世俗権力による利用という面があったのである。
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