研究課題/領域番号 |
17520501
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
西洋史
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研究機関 | 下関市立大学 |
研究代表者 |
丹下 栄 下関市立大学, 経済学部, 教授 (10179921)
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研究分担者 |
舟橋 倫子 中央大学, 文学部, 非常勤講師 (70407154)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,960千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 360千円)
2007年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 手工業 / 牧畜 / 貨幣経済 / 間接経営 / 中世初期 / 中世盛期 / 農村 / 生業 / 西洋史 / 中世史 / 農村史 / 農民経済 / 干拓 / 修道院所領 / 西洋中世 / 鉄工業 / 所領経営 / アフリヘム |
研究概要 |
本研究の成果は、おおよそ以下のようにまとめられる。 中世初期・盛期を通じて、領主制に包摂される領民の多くが農耕とともに牧畜、手工業(鉄工業や繊維工業)を兼営していたことが確認された。これらの活動は領主の主導によって行われた場合もあったが、それとともに領民(生産者)自身が営む独自経営も、無視できぬ比重を持っていた。しばしば領主は手工業者や牧畜従事者に一定の自主性を認め、いわば間接経営戦略をとっていたと思われる。 その理由の1つは、手工業や牧畜の存立にはそれに適合的な自然地理的、社会的諸条件を必要とし、領主はすでに行われていた活動を自己の経営に取りこむ必要があったところにある。実際、中世初期の事例では、手工業立地が領主によって開発されたことを示す事例はきわめて希であり、中世盛期の事例でも、すでに牧畜が行われていた土地を入手した領主は、直接経営に乗りだすことはせず、既存の在地秩序を温存、利用していた。 非農耕的活動は、多くの場合農耕活動と並行して行われた。これは生産セクターを多面化することで、特に生産性の低い中世初期において、直接生産者の収入=食糧調達機会を増やす効果があった。したがってここでは、非農耕的活動は農耕と一体となって生業としての性格を色濃く示していたと言えるであろう。一方中世盛期以降は、近隣都市の需要が牧畜や手工業の拡大を促す事例が目につくようになり、こうした活動は利潤追求的色彩を強めていく。しかし見のがしてはならないのは、非農耕的活動は中世初期・盛期を通じて、商品・貨幣流通と結びついていたこと、そして直接生産者の自立性を担保する機能を持ちつづけていたこと、この2点である。
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