研究課題/領域番号 |
17520512
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
西洋史
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
高神 信一 大阪産業大学, 経済学部, 教授 (30268239)
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研究分担者 |
武井 章弘 大阪学院大学, 経済学部, 教授 (70226976)
勝田 俊輔 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (00313180)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,820千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 420千円)
2007年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | アイルランド / 農村 / 貧困 / 飢饉 / 脱工業 / 救貧法 / 公共事業 / イギリス / リネン工業 / 綿工業 |
研究概要 |
本研究の目的は、19世紀前半のアイルランド農村における貧困と世紀半ばの大飢饉を分析し、これらの現象とヨーロッパの近代社会との間の構造的関連性を再検討することにあった。本研究が明らかにしたことは以下のことである。 第一に、19世紀のアイルランド農村では脱工業化(副業の喪失)が進行し、18世紀の農村世帯が蓄積していた、危機に対応するための余剰が失われた。 第二に、この貧困の進行に際して公的救貧システムが導入されるが、これは理論上完全雇用が可能な社会に対応するための制度であり、大規模な失業が構造化されていたアイルランド社会の貧困に対応できるものではなかった。そして大飢饉の際に自由党政府は、公共事業および食糧供与を廃止して、この制度を救恤の基本としてしまった。 第三に、19世紀前半に凶作が数度発生していたが、政府は公共事業や現金供与によって対応して飢饉を小規模なものにとどめていた。 以上要するに、19世紀前半のアイルランド農村社会は構造的な不安定要因(貧困)を抱えており、また大飢饉をもたらした凶作は予見可能であり、少なくとも部分的には対応可能であったはずなのである。本研究課題を終えたことで、今後は日本でほぼ手つかずの領域であるアイルランド大飢饉を本格的に分析するための足がかりが築かれたと信じている。
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