研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、17世紀スウェーデンの大国化の政治・経済・社会的前提条件を解明することである。その際に、「ストックホルム」からの視点を重視するという方法をとる。なぜならば、17世紀中葉までにストックホルムは首都へと成長するが、その過程を「近世スウェーデン」の国家形成過程と関連づけて考察することが有効であると考えるからである。このような考察をもとに、近世スウェーデンが当時活躍した舞台である「環バルト海世界」において果たした役割を明らかにし、ヨーロッパの国際政治と国際商業の文脈にその役割を正しく位置づけることを最終的な研究目標とした。本研究の成果は、第一に、わが国では研究が皆無といえる分野である、スウェーデン鉄の輸出と外界への鉄の積出港であるストックホルムの双方に着目しつつ、当都市が成立し鉄貿易が開始される13世紀中葉から、両者が著しい成長に達する17世紀にいたるまでの発展を概観したことである。第二に、当都市が17世紀中葉には、国内首府と国際窓口の二つの機能をあわせもつ首都へと成長を遂げたこと、鉱山業が組織化され生産力が拡大し、当都市からの鉄輸出が飛躍的に増加したこと、さらにこの二つの現象、すなわち鉱山業の発展と首都化過程が歩調を合わせて進んだことがスウェーデンの大国化に多大な影響を及ぼしたことについて明らかにしたことである。第三に、スウェーデン王権はストックホルムをバルト海の中心都市にするために、ステープル都市体系を構想、三次にわたる商業令の発布をつうじて、王国内の諸都市を海港都市と内陸都市に分類し、役割分担を促進した経緯を明らかにし、この商業政策がもたらした内外への帰結を論じた。以上を踏まえて、第四に、環バルト海世界のメトロポールとしての大国時代におけるストックホルムの繁栄は、王権が企図したステープル都市政策に依拠していたことを明らかにした。
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