研究課題/領域番号 |
17520518
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
考古学
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
小笠原 好彦 滋賀大学, 教育学部, 教授 (00000480)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2006年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 同范軒瓦 / 同形式軒瓦 / 古代寺院 / 造営氏族 / 分有関係 / 有力氏族 / 奥山久米寺 / 渡来系氏族 / 同笵軒瓦 / 蓮華文 / 瓦当范 / 造瓦工人 |
研究概要 |
日本の初期に造営された古代寺院のうち、『日本書紀』などの文献に記され、造営氏族が明らかな寺院はごく限られている。飛鳥・白鳳期の古代寺院に葺かれた軒瓦をみると、同一の箔(型)による軒瓦が複数の寺院に供給されたものが少なくない。本研究は同范軒瓦が相互に親密な関係にあった氏族の寺院に葺かれたことを想定し、一つに畿内の寺院のうち、飛鳥の奥山久米寺を造営した氏族の性格と奥山久米寺式軒瓦を葺いた寺院の造営氏族を検討した。その結果、奥山久米寺式の同范軒瓦は斑鳩やその隣接地の寺院に顕著に葺かれ、上宮王家と深い関連をもつ氏族が造営したものとみなされる。また、同箔および同形式軒瓦の分有関係の作業をすすめたところ、同范軒瓦を顕著に葺く近距離に建てられた二つの寺院の存在を知りえた。これは同一氏族による僧寺と尼寺に想定しうる可能性が高いととが判明した。 さらに、近江で造営された古代寺院のうち、すでに発掘調査がおこなわれた寺院に宮井廃寺があり、この寺院の性格を同范軒瓦によって検討を試みた。宮井廃寺出土の雷文縁複弁八弁軒丸瓦の同范軒瓦は、近江八幡市千僧供廃寺でも出土し、この千僧供廃寺に葺かれた別種の同范軒瓦が京都府城陽市の渡来系氏族が建てたとされる平川廃寺で出土する。これらの関連と、野洲市西河原森ノ内遺跡から出土した黄文氏の名を記す木簡を重視すると、宮井廃寺が渡来系氏族によって造営された可能性が高いものと推測される。
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