研究課題/領域番号 |
17520532
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
考古学
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研究機関 | (財)大阪市文化財協会 |
研究代表者 |
南 秀雄 財団法人 大阪市文化財協会, 文化財研究部, 次長 (70344380)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2006年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 高句麗壁画古墳 / 図像構成 / 思想 / 出自 / 昇仙 / 仏教 / 模写 |
研究概要 |
本研究の目的は、朝鮮半島から中国の東北地域に存在した古代国家、高句麗の前半期の壁画古墳を対象に、壁画全体の設計を明らかにし、その内容を従来の研究よりさらに明らかにすることである。高句麗古墳の壁画の設計は、被葬者の信仰と死後の望み、経歴と社会的地位などを如何に表現するかに関わる。そのため、その解明は、被葬者の文化的背景や出自の理解と関連し、複合的な民族と文化をもつ高句麗の国家形成過程の研究にも寄与できる。 以上の目的のため、壁画の展開図を作成し、図像の配置や向きなどの詳細な検討から壁画の構成を明らかにし、新たな視点で内容を解読するよう努めた。展開図の作成と壁画の観察には、近年整理が進んでいる、第2次世界大戦前に制作された模写を活用した。 本研究で明らかになった点は以下の通りである。 1.いくつかの壁画古墳に昇仙の望みや、仙界に昇る過程を明確に描いた図像がある。 2.同じ古墳で、被葬者の仏教への帰依と昇仙の望みが混交して描かれる例がある。 3.多数の図像で構成される天井部の壁画では、対称性や方向、高低の違いに入念に配慮して全体が設計されている。 4.天井の壁画の図像には、1)方位と関連して全体の構成の柱となるもの、2)仙人や飛天、3)吉祥的な意一味を帯びたもの(おめでたいもの)、4)体のために効能があると考えられていた生き物、などがある。これらは、死した後も仙人らの住む世界で健康に過ごす望みと、その世界が順調に運行していることを表している。 また、本研究で制作した展開図などの図面は、高句麗壁画古墳に対する様々な他の研究の基礎資料として役に立つと考えられる。
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