研究課題/領域番号 |
17530012
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
基礎法学
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
大平 祐一 立命館大学, 法学部, 教授 (00102161)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
1,660千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 60千円)
2007年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2006年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 無罪 / 有罪確保主義 / 自白第一主義 / 選別主義 / 糺問主義 / 下吟味 / 刑事裁判像 / 無構 / 刑事手続 / 取調 / 自白 / 事実認定 / 刑事司法 / 拷問 / 与力 / 伺・指令 |
研究概要 |
従来の研究によれば、近世の糺問主義のもとでの刑事裁判では、奉行所で無罪を宣告するのは奉行の恥辱であるので、そうならぬよう奉行所の裁判にかける前に下吟味においてふるいにかけ、有罪と思料されるものだけを奉行所に送った。そして、一たん奉行所で裁判をすることになると、そこでは「吟味詰の口書」をとること、即ち、有罪宣告のための供述調書をとることが終局目標とされ、そのため自白が執拗に追求された。即ち、有罪確保をめざして徳川幕府の刑事裁判は進行していった、といっても過言ではない。 しかし、この見解からは「無罪」の姿が浮かび上がってこない。糺問主義の刑事裁判では裁判役所での事実認定は有罪の事実認定だけが追求されたのであろうか。「無罪」の事実認定はなされなかったのであろうか。 本研究では、こうした問題関心のもとに、江戸幕府刑事裁判における「無罪」に焦点をあて、近世(江戸時代)前半期の長崎奉行所の裁判では奉行所での審理(吟味)の結果、「無罪」を申し渡した事例が多かったことを明らかにした。特に注目すべきことは、奉行所での審理の結果、犯罪の事実は認定されなかったという事例が極めて多かったことである。「犯罪事実が存在しなかった」、「罪を犯す意思がなかった」などの理由で「無罪」を申し渡された事例が少なくなかった。 その背景には、捜査と公判の手続が未分離であったこと、下吟味でのスクーリングがゆるやかであったことが想定される。 近世の糺問主義手続のもとでの刑事裁判において「無罪」判決が多数みられ、しかも、そこには、一たん奉行所で審理を開始したからには何としても有罪にもちこむ、といった有罪確保へのこだわりが見られなかったということは、従来の有罪確保主義的な刑事裁判像に修正を迫ることになろう。 また、有罪確保主義を江戸時代からの伝統と見る精密司法論に対しても問題を投げかけることになろう。
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