研究概要 |
1.本研究は,地域社会における外国法に関する情報提供の現状を明らかにし,外国法に関する情報提供を促進する一つの方法として,渉外関係に関する法情報についてのリーガル・ネットワークを構築することの意義とそのようなネットワークを構築するうえでの課題を検討し,さらに,そのようなネットワークを構築する具体的な道筋を示すことを目的としている。 2.本研究では、具体的に、以下のような調査・研究を行った。 (1)外国法の情報提供に関する欧米諸国の先行的な試みについて,文献の収集および分析を行い,その現状と外国法の情報提供に関する法理論上および実際上の問題を明らかにした。 (2)外国法情報が各種の法律関係セクター(官公庁,裁判所,法律専門家など)を通じてどのように提供されているか,またそれらの情報が企業あるいは市民団体・個人によってどのように利用されているかについて、わが国の現状とわが国に固有の問題点を析出した。 (3)地域におけるリーガル・ネットワーク構築のための連携のあり方について,官公庁,弁護士会,企業,市民団体に対してヒアリングを行い,各界の意見を聴取した。 (4)外国法に関する情報提供ネットワーク構築のために、試行的に「外国法情報ネット」のホーム・ページを作成した(平成20年度内に公開予定)。 3.本研究で明らかになった点は、次の通りである。 (1)わが国においても外国法情報はそれぞれの法律関係セクターにおいて精力的に収集されているが、それらが独立・分散しているために、情報へのアクセスは容易でない。 (2)法情報に関するインフラ整備という観点からは、外国法情報センターの設立が望ましいが、わが国の現状では実現可能性は乏しい。 (3)当面は、外国法に関する情報を保有する各セクター間にネットワークを構築することが、外国法情報を提供するシステムとして最も実現可能な方策と考えられる。
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