研究課題/領域番号 |
17530055
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
刑事法学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
伊東 研祐 慶應義塾大学, 大学院法務研究科, 教授 (00107492)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2006年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 組織体刑事責任論 / 企業文化論 / 企業統治機構改革 / 両罰規定 |
研究概要 |
日本の企業統治機構改革に影響を与えてきた米国での改革は、会計及び業務監査並びに監査の前提となる情報蓄積・管理の適正化に焦点を当てたSOX法等により、組織体の逸脱行動に係る個人の刑責追及激化の方向を辿り、組織体自体の責任追及を現象的には例外と位置付けている。理論構成としても、馴染みのコンプライアンス論が促進されている。しかし、これらのことは、実体的な組織体刑事責任論の視座自体に修正を迫るものではなく、むしろ、その視座への近接であり、日本の組織体刑事責任論への影響も、部分的な整序・コンプライアンス論の主流派への接近という次元に止まり、本研究代表者が提示した組織体刑事責任論の理論学的視座の妥当性を示すものと評価される。即ち、2005年の連邦量刑委員会指針は、コンプライアンス・プログラムを機能させる為の企業文化の創出と適切な人的配置を新たに要求して、実体的な組織体刑事責任論と視座を共有するに到り、連邦司法省も、適切なプログラムの存在を組織体逸脱行動の不訴追・犯罪阻却事由とするに到ったのである。他方、本研究代表者の理論は、組織体の意思決定主体と意思決定過程に着眼して展開された理論学的視座で、独創的ではあるが、豪州刑法理論・立法の研究等を通じて、企業文化論から示唆を得たことも事実であり、米国における動向は、既にその方向性を暗示するものといい得る。組織体行動の刑事法的制御の問題は、我が国の立法アジェンダ上で店晒しにされてきたが、近時、議論再開の必要が叫ばれ、その気配が濃厚である。両罰規定という固有制度上に成立した組織体に関する刑事責任論を有し、より実効的な再構築を必要とする、という我が国の特殊状況に適合的な理論視座として、実定的な先例もある企業文化論を、企業統治機構改革へと反映しつつ、訴訟法的観点や制裁論も含め取り込んでいくことは、大きな可能性がある。
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