研究課題/領域番号 |
17530115
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
吉岡 知哉 立教大学, 法学部, 教授 (90107491)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2006年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 国教 / 宗教戦争 / 社会契約説 / 公定宗教 / キリスト教 / 国民国家 / 主権国家 / 宗教改革 / 主権政教分離 / ナショナリズム / ユートピア / スピノザ / ロック / ピエール・ベール / 百科全書 / 政教分離 |
研究概要 |
本研究では、近代政治思想において、国家と宗教との関係がどのように扱われているのかを検討し、近代国民国家が宗教に代わる世俗の信条体系として正統性を確立するにいたる思想的過程を探求した。 1.宗教戦争と近代主権国家の成立 宗教改革と宗教戦争は既存の政治社会に分裂を惹き起こした。近代主権国家は宗教戦争を克服して成立する。絶対君主は物理的暴力を独占すると同時に、国教制度と王権神授説とによって、自らの権力を宗教的に権威づけようと試みる。しかしキリスト教は世俗主権国家を統合するだけの統一的価値体系を提供することはできなくなっていた。絶対主義のもとで、宗教的統合の強制は、かえって信仰の内面性を根拠とする自由の観念を発達させることになり、さらには、キリスト教そのものの相対化を進行させることになる。 2.17・18世紀ユートピア思想における非キリスト教的宗教 既存のキリスト教に対する批判はユートピア思想によく表れている。この時期のユートピア思想に関する研究は少ないが、宗教意識の変容を検討するのに不可欠な領域である。十分とは言えないが、その重要性を明らかにした。 3.近代社会契約説と国民国家 近代主権国家を正統化するためには、人間社会の存在そのものを原理的に考察し、同時に主権としての政治権力を構成する社会契約説の論理が必要であった。しかし、ルソーの「公定宗教」が示すように、政治社会の構成原理が論理的=理性的なものであったとしても、現実の政治社会が存続するためには内的心情を動員する体系を必要とする。しかし新たな体系は既存の価値体系と衝突せざるをえない。「国民」が国教に代わって政治的統合のシンボルとして機能すると同時に、国民国家と宗教とは時に激しく対立することになる。本研究においては、この間の国家と宗教との関係を政治思想に即して解明した。
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