研究課題
基盤研究(C)
本研究は、戦間期日本における植民政策学の展開を検討した上で、それが戦後の国際関係論にどのような影響を残したのか、という主題に関するものである。このような目的を遂行するために、初年度に当たる平成17年度には、関連文献の研究・史料の蒐集に努める一方で、各分野の専門家とともに、戦前期全般にわたる植民政策学を中心とする「帝国編成の系譜」について考察を深めた。この成果は、平成18年2月に、『岩波講座・「帝国」日本の学知』第1巻として上梓、私自身も第8章「『帝国秩序』と『国際秩序』-植民政策学における媒介の論理」と、関連文献解題を執筆した。翌平成18年度には、前年度の戦前期の分析を受けて、戦後への遺産の検討に重点をおいた。『思想』第988号掲載の「国際政治論のなかの丸山眞男-大正平和論と戦後現実主義のあしだ-」は、戦後の国際政治論の展開を、戦前・戦中期の議論の磁場を踏まえたうえで、再構成したものである。また、平成18年10月の日本政治学会報告「戦後日本の保守主義-持続と変容」においても、戦後の言説空間の形成過程を保守主義に重点をおいて検討した。これららは、直接的には国際関係論にかかわらないものも含むが、研究の遂行には、狭義の学説史的検討のみならず、幅広い思想史的文脈の再構成が不可欠であることから、必要な作業であったと考えている。最終年度に当たる、平成19年度においては、これまでの研究成果のとりまとめにはいった。平成18年3月の国際関係思想研究ネットワークにおける報告、同年7月世界政治学会と連動して行なわれた日本政治学会研究会における報告、平成19年3月に『レヴァイアサン』第40号に掲載された「国際秩序論と近代日本研究」で概括的に提示した内容を、平成19年7月に刊行した単著『近代日本の国際秩序論』で体系的に展開し、「帝国秩序」と「国際秩序」の相互関係から近代日本の国際秩序論を分析する領域を開いた。前掲『岩波講座・「帝国」日本の学知』は韓国で翻訳が刊行され始め、『近代日本の国際秩序論』も近く韓国語訳が刊行される予定である。また同書の一部は、英語・西語でも発表しており、研究成果の国際的発信にも努めた。
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『レヴァイアサン』 第40号
ページ: 51-57
Leviathan
レヴァイアサン 第40号
書窓の窓 第566号
ページ: 68-71
創文 第499号
ページ: 1-4
思記 988号
ページ: 5-25
『思想』 988号
vol. 1
Shiso n. 988
岩波講座・「帝国」日本の学知・第1巻・「帝国」編成の系譜
ページ: 1-10
ページ: 287-318
Istor 21
ページ: 51-67
『国際問題』 546号
ページ: 23-34
Kokusai-Mondai no. 546
Istor numero 21verano del 2005, 《Japon segun los japoneses》 (Mexico : Centro de Investigacion y Docenecia Economicas) 21
国際問題 546
政治思想学会会報 21
ページ: 5-9
Istor numero 21 verano del 2005