研究課題
基盤研究(C)
本研究は、EUの欧州憲法条約をめぐる発展、停滞、打開の時期と重なる2005年4月から08年3月までの3年間、実施した。特に、研究開始直後の05年5月、6月のフランス、オランダの国民投票において、欧州憲法条約の批准案が否決された結果、EU全体でその批准作業は中断を余儀なくされ、これ以後EUは長い停滞の時期を迎えた。ようやく07年12月、欧州憲法条約を作り直したリスボン条約が署名され、EUは統合の深化に向けて再び歩み始めた。その結果、科研費を申請した段階よりも、劇的な展開が見られ、現地調査に基づいた本研究は意義深いものになった。1990年代から、EUにおいて国民投票が多用されるようになっていたが、欧州憲法条約の批准に際しては、それまでの基本条約改正には見られないほどの数の国民投票が実施され、また予定された。国民の直接投票により、同条約に民主的な正統性を付与することが目的であった。しかし、上記のフランス、オランダの国民投票の結果、改めて国民投票を利用するリスクがEU統合推進派の各国エリートに共有されることになった。そのため、リスボン条約の批准作業では、ほとんどの加盟国政府が議会承認による批准を選択することになった。EUの政策決定において国民投票はまさに「冬の時代」を迎えたのである。今後もEUにおいて拡大と深化が継続されることを考えると、エリートと国民との間の認識ギャップを埋めることは容易ではなく、国民投票の利用は抑制されるであろう。欧州憲法条約は、EUにおける国民投票問題の分岐点になるものであろう。いかに加盟国国民がEUの動EUの動きを民主的に統制するのか,新たなチャンネルづくりが求められている。
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