研究概要 |
1.レイトンペーパーの資料調査 マーシャルとレイトンの関係をケンブリッジにおける経済学教育の視点から分析することに設定し,平成17年度と18年度にわたり英国ケンブリッジ大学図書館,マーシャル・ライブラリー,トリニティ・カレッジ図書館において,マーシャル文書,レイトン文書の調査を行った。 2.経済学教育について研究 平成17年度には,英国エクセター大学を訪問し,同大学経済学部のジョン・マローニ博士より経済学の制度化におけるイギリス歴史学派のカニングガムとマーシャルの関係について議論し教示を受けることができた。 3.研究成果の内容 平成17年度は,ケンブリッジ学派におけるレイトンの役割に関しては,ケンブリッジ大学の講義関係資料を中心に分析・検討を行った。その結果,レイトンは「現代産業の構造と諸問題」という講義を担当し,ケンブリッジ学派における応用経済学の分野の開拓者であることを明らかにすることができた。平成18年度はケンブリッジ学派でのレイトンの位置づけを行い,彼をマーシャルが創設した経済学トライボスから生まれた経済学者であり,マーシャル経済学の伝統を受け継ぎ実証経済学の創造的な分野を開拓した人物として評価した。 4.学会・研究会への出席報告等 平成17年度にはヨーロッパ経済学史学会,英国経済学史学会,英国経済教育学会に出席した。ヨーロッパ経済学史学会では,ポール・カルミー博士(ヘルシンキ・ビジネススクール)の経済学教育についての報告への討論者を行った。研究成果は,平成17年12月23日の近代経済学史研究会で報告を行った。平成18年度は,経済学史学会全国大会で「マーシャルとレイトン-ケンブリッジ学派の知の継承と知の創造-」(平成18年5月27日・28日神奈川大学),経済社会学会西南部会(平成18年12月16日神戸大学)において,「ケンブリッジ学派におけるアルフレッド・マーシャルとウォルター・レイトン」というタイトルで報告を行った。さらに,研究の成果を平成19年9月に開催される経済社会学会全国大会において報告を予定している。
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