研究課題
基盤研究(C)
1. 「パートの103万円の壁」があるときには、壁が無いケースと比較して、最適な退職時点が延期されることが理論的に示した。この理由は、壁の存在によって1年間のパート収入を103万円以下に抑えることが合理的になる反面、そのように労働供給を抑制することは生涯所得を減らすことになるため、それを部分的に埋め合わせるために、より長期間働くという効果が生ずるためである。また、103万円の壁の経済厚生上の効果を評価する際、1期間のそれと多期間のそれは一般には一致しないことを示した。1期間の予算制約が不連続である場合の動学的な最適化問題を解析する労働経済学の既存研究は多いとはいえず、この研究はそれを行った数少ない研究のひとつといえる。2. 女性労働者のなかで正規-パート賃金格差が拡大している理由として、女性正規労働者の高学歴化と、20歳台の女性正規労働者の減少という意味での「高年齢化」の影響が大きいことを実証分析により示した。3. 日本における女性の正規雇用就業には大きな地域差が存在し、地域要因の制御方法が労働供給関数の推計値に大きな影響を与えることを示した。従来の研究では地域の要因はアドホックなかたちで考慮されることが大半であり、地域変数の扱い方が労働供給関数の推計に影響を及ぼしうることを指摘したことには一定の意義がある。4. 日本において、有配偶女性の就業は家計所得分配を小幅に改善していることを実証分析により示した。日本の所得格差については多くの仮説が提示されているが、実証分析を通じてこの点を検証したことには一定の意義がある。
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すべて 雑誌論文 (21件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (4件) 備考 (2件)
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http://www.econ.hokudai.ac.jp/~abe
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