研究概要 |
さまざまな医療費抑制策が行われてきた.医療費=(医療)価格*(医療)量であるので,医療価格抑制,自己負担増加などである.その中心は自己負担増加であり,被保険者本人については,1984年に1割負担導入,1997年の2割負担導入,2003年の3割負担導入と徐々に上昇している. 一般に病気そのものの重篤さと自覚症状の強さは基本的に比例しない.必要な医療受診が抑制されれば,将来的に重病になり医療費が増加することや,平均寿命,その他公衆衛生指標が悪化することが予想される. 某健康保険組合の2002年と2003年の,個人別データを用いて,自己負担増加が受診意志決定に及ぼす影響を調べ考察した. 結果:生活習慣病全体では,標準報酬月額が低い方が,また報酬の増加率が低い方が有意に,生活習慣病の継続受診確率が低いという結果が得られた.考察:合理的な個人を想定すれば,医療におけるモラルハザードはないと考えられる.
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