研究課題/領域番号 |
17530269
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
経済史
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
加来 祥男 九州大学, 経済学研究院, 教授 (30024988)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2006年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ドイツ / 第1次世界大戦 / 戦時福祉 / 兵士家族支援制度 / 救貧制度 / 名誉職 / 社会国家 / 公的扶助 |
研究概要 |
本研究の課題は、ドイツ福祉国家の成立.発展史という視点から、第1次世界大戦期の戦時社会政策からヴァイワル期の福祉政策への転換をたどり、そこにみられる性格の変化を明らかにすることにある。研究を進めるなかで戦時期の問題が当初の予想よりも大きいことがわかり、そのために、戦時期、とくに応召兵士家族支援の問題が当該研究の中心を占めることとなった。その成果は、「第1次世界大戦期ドイツの応召兵士の家族支援」と題する論文として公表しつつあるが、全体の概要を示しておけば、以下のとおりである。 (1)兵士家族支援の枠組みを成したのは、1888年に成立していた<兵士家族支援法>であったが、諸邦国は次々にく内相布告>などによって制度を拡充した。ライヒはそうした動きを受けて1916年には<連邦参議院布告>によって<家族支援法>を改定し、それをうけて諸邦国はさらに対応策を出していった。そのなかで留意すべきは、兵士家族支援が従来の貧民扶助とは基本的に異なっていることが強調されていた点である。(2)兵士家族支援の実施体制は、地域毎に形成され、それは多様な組織運営形態をとったが、多くの都市では既存の行政.扶助機関が利用され、また多数の扶助員が名誉職として動員された。そして、これらの点では、貧民扶助のそれが大きな役割を果たした。(3)兵士家族支援は、実際には法律の規定を大きく超える規模でなされたが、それは都市の負担を大きくする一方、所期の目的を達することもできなかった。したがって制度自体は破綻したといわざるを得ないが、それが戦後の新しい動きを引き出すとともに、家族支援制度を実施するなかでつくられた組織のあり方がその動きのなかで生かされていくことになる。
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