研究概要 |
本研究の目的は,エンターテイメント・ソフト産業の国際競争力を明らかにすることである. 平成17年度〜平成19年度は,エンターテイメント・ソフト産業の事業間関係に着目し,日本の芸能ビジネスおよびマンガビジネスの分析を行った.分析の範囲は,国内事業および海外事業である.今回の調査から,近年のエンターテイメント・ソフト産業の変化に関して,以下の2点が明らかになった. 第1に,メディアの多様化による事業領域の拡大と波及効果である.インターネットの普及により,コンピュータおよび携帯電話での事業展開が拡大したため,事業のスピードが加速されるとともに,事業に関わる企業数も増加してきた.エンターテイメントの作品単位でみると,事業間で相互に与える影響が増大し,事業間の連携も複雑になっている. 第2は,著作権に関する取り組みである.インターネットの普及は,エンターテイメント・ソフト産業にとって市場拡大の機会をもたらす一方で,海賊版の横行を促進するリスクを高めている.事業領域の拡大にともない関連企業が増えたことから,個別企業で行ってきた海賊版対策を,業界単位あるいは国家レベルで推進しつつある. 以上の2点から,複雑性とリスク分散の観点を考慮し,本研究のフレームワークである事業展開システムを精緻化した.今後は,このフレームワークを用いて,他のエンターテイメント・ソフト事業を分析し,エンターテイメント・ソフト産業の国際競争力の解明に取り組んでいく予定である.
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