研究概要 |
本研究の成果は,大きく4つの成果に分類することができる。 1.産業クラスターの理論について,主に文献研究に基づき整理し,実証研究の基盤を構築した。ここでは,主にポーターのクラスター理論を中心に考察している。 2.近年注目されている地域産業に対するいくつかの分析視点をサーベイし,産業クラスター理論との相補性,差異性,関連性などについて考察している。 3.地域における産業発展を成し遂げるための特に重要な視点は,企業家精神の発揚によるイノベーションの実現であるとの基本的な考えのもと,イノベーションと企業家精神について,主な研究成果をまとめると共に,その担い手たるベンチャー企業にスポットを当て,地域におけるベンチャー創造の条件について考察している。 4.地域における企業成長と事業創造について,近年の産業政策を取り上げ,北海道における取組みとその成果について検討している。その上で,北海道の地域企業における注目すべき動向や競争力の源泉を探ることで,地域の繁栄に向けた産業ネットワークとしてのクラスター創造について,その方向性と実現に向けた取組みを考察している。 今回の研究成果によって,地域企業の経営革新や新規創業が促進するためには,特に地域の中核的な企業群が連携し,地域のドメインともいえる地域産業の方向性を提示し,そこに向かって地域資源を集中することが効果的であるとの考え方が導出された。今後は,このような取組みが現実問題として実現できるのか,そして,所期の目的が達成できるのかという観点から,事例研究やフィールド調査を中心に研究を進めると共に,実際の企業戦略や地域産業政策の立案に関与していくことにしたい。
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