研究課題
基盤研究(C)
本研究は、「会計ビッグバン」という具体的な素材の分析を通じて、その制度的帰結、経済的帰結および理論的は何か、そして、なぜ、いかに、どのように会計基準の大改正や新設がなされたのかといった普遍的な問題を、歴史制度分析手法や比較制度分析手法などを用いながら解明しようとするものであった。歴史的な観点からは、会計ビッグバンの理論的な柱である「経済的利益概念」およびその技術的な柱である「割引現在価値」について、1980年代までの議論を中心に整理した。その結果、生成期(16世紀-)では、直接的測定(フレッシュ・スタート測定)と会計的配分(利息法)が並存していたが、確立・展開期(1930-1970年代中葉)までの制度関連領域では会計的配分が支配的であり、今日的会計観とは対照的であることを明らかにした。さらに、その過程で、「経済的一元論」と「経済的・会計的二元論」という全く異質な系譜が存在していたことを突き止めた。制度的な観点からは、リース会計基準をめぐる議論などで、「実質優先思考」が従来にも増して強調されるようになり、「経営者の意図」が排除される方向にあること、社債の時価評価論、退職給付の即時認識論、資産除却債務の認識に関する議論では、総じて「名目資本維持-総資本概念」(エンティティ観)から「財務的資本維持-自己資本維持」(株主中心観)への転換がみられることを明らかにした。いずれも、一元論にむけた方向性である。1990年代以降、公正価値(会計)が台頭し、割引現在価値がその一測定技法とされるようになった。このことが時価評価領域の拡大やインタンジブルズ計上論の原動力となっているが、公正価値会計のもとでは純利益が維持される保証はないこと、公正価値会計とインタンジブルの計上は相容れないこと、公正価値会計は経営者の恣意性を排除できるが会計数値の恣意性を排除することはできないことなど、新たな問題が生じてきたことを指摘した。
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